海外転勤のオーナーさん物件を賃貸で貸す場合・借りる場合の契約形態について
海外転勤になられた場合など、お住まいの保有マンションや戸建てのお宅を賃貸に出されるケースは、有効活用や資産形成の観点から以前から多くみられます。
ただ、その場合、どのような契約にすればよいのでしょうか、とのご質問をいただきます。
どの契約形態にするかは、主に『解約』がポイントになってきます。
以下の各契約形態の内容をご確認いただき、ご自身のご状況とスタンスに鑑みてご検討いただければと思います。
普通賃貸借契約
◆契約期間
普通賃貸借契約にする場合は、当分の間は戻ってこないであろう、戻ってきたとしても他の場所に住むので問題ない、という場合に選択するケースがほとんどです。
契約期間は1年以上で設定しますが、通常は2年とすることが多くなっています。
◆借り主からの中途解約
契約期間内に解約の予告期間を設けて比較的自由に中途解約することができます。住居の場合の解約予告期間は1カ月または2カ月前にする場合が多くなっています。
◆貸主からの解約
借り主が引き続き住むことを希望している場合には、貸主からの解約や契約期間終了時の更新の拒絶は、貸主に正当な事由(どうしてもそこに住まなければならないなど)がない限りできません。
定期借家賃貸借契約
◆契約期間
定期借家賃貸借契約は、契約の更新がない契約になります。そのため契約期間が終了した時点で契約終了となり借主は明け渡しをしないとなりません。
但し、貸主と借り主が合意すれば、再契約することは可能です。
契約期間は2年間が多いですが任意で決められます。
◆借主からの中途解約
期間内解約を不可にする、普通賃貸借に準じた内容にする、など中途解約に関しては個別に特約を結ぶことは可能です。
◆貸主からの解約
貸主は期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に、借り主に対して契約が終了することを通知する必要があります。
その場合、契約期間が終了した時点で契約終了となります。
以上が普通賃貸借契約と定期借家賃貸借契約の違いになります。
そして、今回、海外転勤のオーナーさん物件を賃貸にする場合に増えてきた契約形態『一時使用賃貸借契約』をご説明いたします。
一時使用賃貸借契約
一時使用賃貸借契約は、本来、一時使用目的のために建物を賃貸借する場合の契約をいいます。
たとえば、展示場や選挙事務所として建物を一時的に使用する場合、借主が建物の建て替え期間の仮住居として建物を一時的に使用する場合がこれに該当します。
◆契約期間
一時使用目的の賃貸借として、契約期間の満了をもって契約は終了することになります。
◆借主からの中途解約
期間内解約を不可にする、普通賃貸借に準じた内容にする、など借主からの中途解約に関しては個別に特約を結ぶことは可能です。
◆貸主からの解約
契約期間の満了をもって契約は終了することになりますので定期借家のような通知義務もなく、貸主に正当事由も必要ありません。
このように一時使用賃貸借契約は、特に海外転勤から戻ってくる際の貸主さんにとっては不安の少ないメリットのある契約形態と言えると思います。
ただ、実際に住居として貸し出す場合には、借主の都合も考慮する必要はあると思います。
その際には当初の契約から2年間は住むことを保証して、その後は1年間の自動更新として、貸主さんが帰国する事が決まったら戻れるように、3カ月前通知とするなどする場合が多いです。
以上のように、貸主さんの帰国後の状況やスタンスによってどの契約形態をとるか検討してみると良いと思います。
借主さんにとってはやや状況が悪い定期借家賃貸借契約や一時使用賃貸借契約とも思われますが、相場よりも安く貸し出す場合がほとんどですのでメリットも得られます。
上記のように貸主・借主双方が常に契約形態とその内容を意識しながら役立てて頂ければ光栄です。